この佳き四月/亜樹
 
この佳き四月
うららかな休日
外れた唄を
大声で歌う
赤ら顔の親父殿
なるほどあなたは相応しい。

見ろ
空は青い
花は白い
幹は黒い

お前たちは
その疲れたこころの
ほんの少しの慰めと
そのただれた精神に
相応しい疲労を得るために
この公園を訪れて
あの空の青さと
その花の白さを称える。

ご機嫌な調子で
古い唄を歌う
親父殿のほか
誰も幹の黒さに気がつかない。

ああ!
真白な紙を前にして
最も絵描きを悩ますものは
何よりもその幹の黒さだというのに!

生きているものの罪と言うことを
俺が始めて知った日に
赤ら顔の親父殿が
どでかい声で
懐かしい唄を歌う
この佳き四月
晴れやかな休日

明日には
花散らしの雨が降ろうとも
ああ!
この佳き四月!
かぐわしき休日!!
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