『似顔絵』/東雲 李葉
 
怖いものばかり溢れているから、
せめて、心の中にはきれいな景色を。
痛い言葉の刺を抜き、
現実の牙を丸くして。
悲しいことは嫌いだから、
嫌われるのも嫌うのもわたしにとっては同じこと。
優れていても劣っていても、
お金持ちでも貧乏でも、
あなたを好きなことに変わりないのに。
嫌うことと嫌われること、あなたにとっては違うこと。
わたし、あなたのこと、何も知らない。
横顔ばかりの落書き帳。
いつだって真っ直ぐ瞳を見たいのに。

描いても描いても近づけない。
描いても描いても分からない。
あなたが描いたわたしが見たい。
わたしが描いたあなたを見せたい。

辛いことば
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