マンタレイの夜/
mizu K
てもうなんにも
いわない
すこしずつひんやりしていく
*
夜空をマンタレイが
滑空するさまをたまたま
見てしまったひとは
さらわれるという
というのはほんとかうそか
わからないけど
彼女はつめたい土の下に
しずかにねむる
ちいさな天文学者は
何光年の過去と未来を
のぞきみている
わたしはディスプレイから
夜毎にマンタレイを
はなつ
今日はだれも
さらわれないことを
すこしだけ祈りながら
戻る
編
削
Point
(13)