マンタレイの夜/mizu K
 


夜のしずかなさんごの
いきをひそめる宵闇夜
青ぐろい街の空を
マンタレイが滑空するころ
天体望遠鏡をのぞきこんでいた
ちいさな天文学者は
ベランダで眠りこけて

あのちいさな星からの何万年も前のひかり
いまはあの星は
存在しないかもしれないんだ
ぼくのおもいがあの子にとどくころ
もうぼくは
存在しないのかもしれないんだ
しれないの
しれないんだよ

かなしいかい?
そう
マンタレイは
ゆうゆうと空をすべりながら
いう
きみが死んでも
世界はあんまりかわらない
すこし涙するひとがいるくらいで
世界は
あんまりかわらないけど
ちょっとずつか
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