陽光/乱太郎
 

穏やかな日々というものがある

一日一日に
棘があり沼地があるのは
ほんとうは知っている
ひとびとは
うまく避けながら果実を探して
今日の美食を味わう

それでも僕は
虹の掛かる彼方だけを見つめて
人の血が染みついている足もとから
幽霊のように浮かび上がり
夢遊病者と思われようが
君がいて
あなたがいて
わたしたちがいる
もうひとつの夢に生きようとしている

そこは何処
と言われても
もしかしたら何処にもないのかもしれない
僕が作り上げた虚空
負の世界
陰口を言われても仕方のない

それでも

伝えておかなければならない
言葉がある

君に
あなたに
わたしたちに

ありがとう
春のような日差しを受けて

ありがとう
空の向こうの彼方へ

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