『毒』/東雲 李葉
吐くな嗽薬
大人になっても消えることない
幼い傷跡 醜いケロイド
慰めなんてもう要らないから
炎症起こしたこの皮膚を冷たい指で戒めて
きみにとっての致死量を
口 移して
最期はぼくだけ見てほしい
良い子には甘い風邪薬を
いけない味を覚えなさい
篤志家にはギロチンを
そんな優しさ望んでいない
利他主義だって排他主義
利己で慈悲を選り好み
きみの甘い甘い気配がして
吸い込んだら途端に闇が満ちる視界
呼吸器官に異常を来す
きみの名前劇薬だなんて
空気が漏れる音だけ響く
無菌室で試した愛
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