スプリング・ロール/ピッピ
 
ぬるめの春が小田急線に乗って列島を劈く
彼女は大手企業で既に泣きを見ているようだ
引っ越したばかりの十四階の窓から
見える桜は咲いているかのように笑う
そして僕は山積みにされたかき氷に
白いシロップをかけるのだった

静止画のように色づいて春は生き延びる
はたから見て作動していないと思われている
ものほど辛い思いをしているのであった
5円チョコが6円になって国は暴動を起こす
育む自然も彼らには手榴弾の原料でしかない
そうして小田急線は夏を運んでくるのである
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