雨/
見崎 光
手を握っていた。
夢を見ていたような、
見ていないような感覚に襲われて、
何故だか急に不安が胸を揺する。
辺りはすっかり暗くなっていて、
眠っていただけなのだと撫で下ろす。
窓を開けると優しい風が流れた。
乾ききっていない服では冷たい温度しか伝わらないけれど、
星の温もりと煌めきに包まれた瞬間を暖かさと呼びたい。
濡れたままの舗道に、
夜空が広がっている。
どこか軽くなった想いと共に、
エンジン音を響かせた。
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