夜道/松本 涼
 
夜道
眠りかけた草木の
濃密な薫りの中

歩く私の瞼は
少し重たい


やがてひとつ
ふたつと
意識の枝は
折れていき

私は一本の
幹となる



望む以外の答えがその胸を
重くするくらいなら
望まなければ
いいものを


届く言葉は
草木の囁き
夜空の溜息
意識の回想

いやそれよりも


幹となり歩く
この夜道がさては

草木の見ている
夢に違いない





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