私より偉い/因子
自宅から追い出されるようにして、予備校の自習室に行く。
テキストとノートを開いて、ノートにテキストを重ねて隠した部分に漫画みたいな目を描く。
いっぱい描く。
目が、というより目を描いてる自分が気持ち悪い。
そんで詩の切れ端みたいなものが出てきて、書く。
携帯を取り出してメールの新規作成画面に打ち込む。
これもきっとすぐに消去される。されるといい。
隣の子は合格のお守りを筆箱につけて一心不乱に問題集と向き合ってる。
私は何とも向き合ってない。
机にさえ。
携帯のボタンはネチネチともカクカクとも表記できそうな音をたてる。
隣の子は頑張ってるから私より偉い。
予備校で偶々再会
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