冷めたカフェラテ/naru
赤い鉄筋の橋をわたり
360度くるりとまわる
軸足がずれてよろけても
雨上がりの空は青い
駅前のカフェで
正面に座る人を見つめた
睫毛の長さと
指の節の太さ
あと首筋の香り
失ったわけではないのに
穴の空いたバケツのように
すくってもすくっても
気持ちがたまらない
おもちゃのように
いらないと放り出して
埃をかぶせてしまえたらいい
捨てることすらできないから
こんなところでよろけてる
空が青くて
人に囲まれていて
ごはんもおいしいし
だんだん暖かくなってきた
あたしは幸せ
コンクリートの水溜り
見ないふりして飛び越えた
戻る 編 削 Point(6)