静寂に/
石川和広
ものおとをたてる足の裏は悲しい
きしむ古い木の床と
すこしずつ減りつつある体重の
狭間で
夜の空気は家人に眠りを運び
すりっぱを履くの 忘れた
冷たい
ひとり暗い廊下歩く
足音!
聞くものはあるか
足音!
炸裂し、またつまずき
どてどてどて
ぱたん
し
トイレの戸を開ける
そっと気遣い
とおく泣く子供の声か
ぼくは男だから
立位して
用を足そうとしてみあげる
虚空
戻る
編
削
Point
(3)