静寂に/石川和広
 
ものおとをたてる足の裏は悲しい

きしむ古い木の床と
すこしずつ減りつつある体重の

狭間で
夜の空気は家人に眠りを運び
すりっぱを履くの 忘れた

冷たい

ひとり暗い廊下歩く

足音!
聞くものはあるか

足音!
炸裂し、またつまずき
どてどてどて

ぱたん



トイレの戸を開ける
そっと気遣い
とおく泣く子供の声か

ぼくは男だから
立位して
用を足そうとしてみあげる


虚空

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