「 背後の目 」 /服部 剛
 
「自分をよく見てほしい」 
というふうな 
ふんぞり返ったこころ 
「自分は駄目な奴だ・・・」 
というふうな 
しょげかえったこころ 
ふたりの自分の間で 
あるがまんまに立っている 
ほんとうのわたしについて 
正しいか正しくないかを 
知っているのは  
旋毛(つむじ)から爪先まで 
揺り籠から墓場まで 
密かにわたしのすべてを
知っているのは 
「 背後の目 」 
いつも離れず宙に浮く 
透きとおったそのまなざしを思うと 
おのずとわたしの体は笛となり 
風の息吹がふきぬけて 
うたを奏でる
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