hearTache/片 一
じんわりした
今まで瞼を閉じて冷たくなっていた
体の寂しさに
さいなまれるように
心の中で動きはじめた鼓動が
どれだけ小さなものでも
本当と思えた
痛かった
春の朝その柔らかさが
君に似ていた
一人だけでもて余した今が辛かった
春の朝その柔らかさが雪を溶かすための
日差しならば
どうして私は辛くなるだろうと
一人事(※)のように
持て余した会話が辛かった
じっと眠ったままの部屋の窓を開けて目の前の春を見つめた
いつの間にか消えた雪の姿を探す私の我が儘が
もう合わさることのない あの季節の儚さを部屋に遺した
(私の時間は背中を丸めて)
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