この町/
アキラ
大きな公園で梅の薫りがしたら
もう春はすぐそこ
最後の卒業式を迎えるわたしは
二世帯住宅が増えはじめたこの住宅街を
今年出ていく
さよなら
この町で育ったから
わたしはきっと今のわたし
ありがとう
何の変哲もないこの町のひとつひとつを
わたしのからだが憶えている
公園の滑り台のてっぺんから見上げた空は
いつもと全く変わらなくて
何の変哲もないこの町を想って
なぜだか
涙が止まらない
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