君に見せたい赤い花/さき
 
その色
スカンジナビアの薔薇より
もっと赤い
沈み込むように
夜な夜な世界の果てまで
私のつま先から髪の毛の先まで
何も残さず
燃やしつくす



夢の砂漠は
いつか辿り着くところなのだそうだ
私の骸まで柔らかな風に吹かれて空に舞え
あの炎
あの灼熱に
葬られた後だから
千年も二千年も夢見心地でいられる
誰かに見つけられたいような
そうでもないような
ただ世界を舞う



また一つ
季節が巡る
逡巡
尚辛い現実と
過ぎた季節だけを眺め
夜な夜なあの赤い
赤い花を見つめる



その色
まだ赤い
どこまでも熱くする
何よりも私を駄目にして
生かして
殺して
再生し
また駄目にする



この胸の涙なんて
ほんの束の間
一瞬で焼き尽くす
その花の名を
私はなんと
名付けよう
君はなんと
呼ぶのだろう








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