First Love/円谷一
英和辞書と歌詞を照らし合わせながら僕は「永遠の初恋」を知った。それは僕の「君」への想いを代弁してくれていて、高校生の頃に戻ったような気持ちにさせた。僕はいつも君と堤防を自転車を押しながら流れ行く川を見ていた。君と一緒に川の流れを見ていたいという気持ちやずっと話していたいという気持ちもあったけれど、僕は、この「本物の初恋」の中で生きている世界、風や空気や草や土の匂いや、君の生理のことを漠然と不安視したり、上げた瞼の裏に焼き付いた街の影に親近感を覚えたり、一度帰宅し私服に着替えて行くクラブの室内の温度や様々な香水がブレンドされたライオンの体臭のような匂いを思い出したりした。急に下り坂になるともう君と
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