立葵/天野茂典
 

     検閲された詩人も知らない
     はりたおしてやりたいくらい
     みんなあまっちょろいのだ
     現代詩は腐ったまま封印されたままなのだ
     もっと死をかけろよ
     バイクに乗ることは死をかけることなのだ
     だからぼくは詩を捨てた季節があった
     10年間詩をかかなかった
     バイクにいのちをかけた
     ぼくは死ななかった
     こんどは詩を書いて死んでやる
     ひそかにそう思っている


     立葵が咲き出すとぼくには
     日本の道のすみずみが浮き上がってみえてくる
     その風景を思い出しながら
     ぼくは自動手記装置の地図を
     ひまわりのように黄色くなって太陽に突き進もうと
     クラッチをいれるのだ 
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