喪服を着て/
 





喪服を着て
ビール一杯で酔っ払う

泣けばすべてを否定してしまうだろう
僕はそれが怖かった

生きていることが奇跡だって
知っていても毎日僕らは
生きるための具体的な事柄をこなしているから
生は奇跡と言うほど唐突な出来事じゃなかった

むしろ

死のほうが奇跡的だ
死の悲しみのほうがこんなにも
作ろうとしても出来ないこんな閉塞的な悲しみは
認めなくても本能が理解するこんな従順な悲しみは


泣けばすべてを否定してしまうだろう
僕はそれが怖かった


あなたが死んだことよりも
あなたの体を燃やすほうが悲しいと
そう思ったのは僕だけだった













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