春断章/
紅林
御自慢の新車のサイドシートをば独り占めする春の日だまり
誰知らぬ間に思い出を持ち去りて消えたし
春の風のごとくに
春立つ日
去り行く冬に置いていくもの並べたら
カラになる我
丸筒を振りて学友門を出る
これがこの世の別れと知らず
※以下ハ歌舞伎「積恋雪関扉」ヲ観テ詠メル
冬の神
春の女神と添われぬが定めと知りて
涙 斧濡らす
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