桃花水/
相田真理子
あなたの不在がもたらしたのは冬だった
酷く冷たい冬だった
雪が積もり空が閉ざされても
私は知っていたから
春が来ること
あなたじゃない誰かがもたらす春を
私は予感していたのに
桃の花も散る季節にあなたに会ってしまった
会ってしまった
春が萌え 桃の花が舞い
雪が解けた
せっかく雪にしていた
あなたへの気持ちが溢れて
頼りなく川へ流れた
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