花は桜木と申しますが/亜樹
 
 TVなんかをみていると、どうも生き物の価値と言うのは、賢さだとか優しさだとか可愛さだとか美しさだとか、そういったものであるらしい。
けれども私の短い生で、今までであった生き物の中、最も尊いと思えたものは、鯨でもチンパンジーでもなかった。
 それは岡山の北部の数少ない観光名所で、名を醍醐桜という。
 その名の通り、かの後醍醐天皇が、元弘2年隠岐配流の際、この桜を見て賞賛したといわれる由緒正しき古木で、目通り7.1m、根本周囲9.2m、枝張り東西南北20m、樹高18m、種類はアズマヒガンというヒガンザクラの一種で、昭和47年12月岡山県の天然記念物に指定されたらしい。樹齢は700〜1000年。
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