雨夜の信号 /服部 剛
 
主任のおばちゃんが 
残業時間につくる勤務表と 
にらめっこしながら 
(あの人の性格はああだから・・・) 
(この人の性格はああだから・・・) 
と頭を抱えていた 
なにができるでもない僕は 
ただ「おつかれさまです」だけを言い 
タイムカードを挿した後 
雨降る夜に傘をさし 
職場の門へ歩く 
途中の駐輪場で 
何台もの倒れそうな自転車が凭れて  
主任のおばちゃんのスクーターが 
雨に降られながら 
ふんばっていた 
かたんかたんと
自転車をたて 
スクーターも 
すくっとたった 
少し軽くなった気持で 
門を出る 
雨の滴の弾ける 
アスファルトに滲む 
赤信号が 
青に変わった 
 
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