雪江さん/いとう
されたんや
でもうちはおじいさんと結ばれたかったから
「なら縁を切ってください。切ってくれなければこの場で死にます」
そう言うてしぶしぶ承知してもらったのよ
だから旅館には全然近づかなかったけれど
まだ許してもらえないかなぁ
もう死んだのになぁ
なんかドキドキしてきた
もう死んでるのになぁ
彼女の言葉が共通語に戻っているのが
悪い予兆のようで
旅館の入り口で
「ここでしょ?」とぶっきらぼうに
すると
「許してくれるかなぁ」と聞こえた直後
“バシャーッ”とバケツをひっくり返したような音がして
振り返ると雪江さんは
トロトロに融けていた
いきなり体が崩壊して
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