櫻の宴/朽木 裕
その乱刃の切っ先、どこへ向ける?
君の、白い白い陶器のようなおとがいに
するりとすべらせたなら、なんて美しいだろう
真紅の血しぶきは白い肌をぬらして桜色になる
何時間、眺めていたとて飽きないだろう
そんな君を眺めながら酒でも呑もうか
あぁ、そうだ
下戸の君と一度だけ盃をかわしたことがあったね
君は白無垢を着てゆるく笑んでいた
本当に君は白がよく似合う
性格だってそうだ 今時珍しいほど
純真無垢で なんて美しいんだろう
だから 穢したくなるんだよ
汚したくなるんだよ
侵したくなるんだよ
殺したくなるんだよ
それを君は知らない 決して思いもしない
だから今から死ぬんだ ごめんね
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