模索する深海魚/ゆるこ
眠る街を滑走する孤独
ひたすら消えたくてアクセルを踏む
周波数の合わない感覚
ここに僕はいない
いや、このせかい に
渇望感と少しの焦躁
命が巡る、人工的な光
ざらざらと乾いた口内
と
サランラップに包まれた脳
ひたすら落ちて、しまおうと
する。
視界が急に暗くなる
海の底みたいだ
薄い瞼の先から酷く光、が、漏れはじめ、
あ、
・
「僕なんか死ねばよかったんです。
妻も子供もいないし、親だって早くに亡くなってるし。会社でだって三流の傾きかけた工場で、勤務して二十年も経つのに平社員ですよ。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)