模索する深海魚/ゆるこ
 
眠る街を滑走する孤独
ひたすら消えたくてアクセルを踏む
周波数の合わない感覚
ここに僕はいない
いや、このせかい に
 
渇望感と少しの焦躁
命が巡る、人工的な光
ざらざらと乾いた口内

サランラップに包まれた脳
 
ひたすら落ちて、しまおうと
する。
 
 
視界が急に暗くなる
海の底みたいだ
 
薄い瞼の先から酷く光、が、漏れはじめ、
 
 
 
あ、
 
 

 
 
「僕なんか死ねばよかったんです。
妻も子供もいないし、親だって早くに亡くなってるし。会社でだって三流の傾きかけた工場で、勤務して二十年も経つのに平社員ですよ。

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