羅列による平坦で陳腐な文章[その1]/西日 茜
みついた習慣からくるものに「愛」は潜んでいるのだとデータは言った。
(三)ワラント
ワラントは重い腰を上げて、クレイムの感情が何者かによって抑圧されたのだとしたらそれはコンプレックスに過ぎないからそんな感情はさっさと捨て去るべきだと言った。いつまでも自己愛に支配されるべきではないと。
クレイムは深く暗い闇に閉じこもっていた自分を解放し、やっと明るい外気に自らを曝け出した。彼女を待っていたものは、やわらかい太陽の誘いと海中から響いてくる鯨の優しげな鳴声。今まで気がつかなかった自分の身の周りに「それら」はここかしこに転がっていた。対象が望むものを探して、それらを満たしたいという思いに駆られたクレイムは一陣の風となって飛んでいった。
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