瞳/水町綜助
 
 開いた口に降る光を呑みこむ
 瞼は閉じた
 美しいとしか
 いま見ないから

 環状に走る電車の
 円心に黒い瞳を塗りこむ
 同時多発性の感傷を
 相対的に涙するために

 そして一周回り込み
 もと来た街に降り立てば
 いまよりもっと
 鈍感になっているだろう

 瞳がかんじるものは

 光
 乾き
 潤い
 暗さ
 様々な出来事
戻る   Point(3)