紫/
よしおかさくら
水彩画の背景を
紫の濃淡で塗りつぶしたことがある
いつも通りの'Aをもらい
わたしはそれを忘れ去る
あれは何の背景だったか
紫は
幸せのように見え
不幸せのようにも見え
甘く甘く煙る空気は
ひっそり囁く流れで
知らないふりの小川
氷点下だと云われて
伸ばしかけてやめた手
いいのにね凍ったって
先にある蜜の味さえ知れたら
幸せのように見え
不幸せのようにも見え
悲しみでなく
やはり
哀しみであり
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