薄明に寄す/みつべえ
。怖れていたことが実体化したのだ。すでにわたしは一幅の絵の中に囚われている。けれども不毛の原野の果てに都市の臭いをかぎつけ、無意識に犬のような姿態をとる。わたしは侵略者の末裔にして被支配階級の子孫。はじめからわたしのいる場所はなかった。民族も同胞もない。わたしは、みずからを尖鋭に疎外する単独者。だが、そうと自己規定したとき瓦解の危機に陥る。ああ、おお、ああ、おお、あつらえモノの憂愁背負って、本質と実存が転倒している鏡の森に分け入り、夢をみない鳥のように眠る・・・
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