わたしは春にうまれた/アオゾラ誤爆
 
梅のにおいだ



がらんとした空洞のせかいに
手をひたす
わたしがさわれて
感じられるものを
おもいきり吸い込むために


あざといまなざしに 
淋しくかかげた
いたみの芽
あわただしい忘れられかた
なんて

ひとつなくしたら、いつかあふれる
にがいのは慣れている
まだあおいはだしで

紙風船がぽとりとおちた
うららかなる白昼の憧憬

たたみかけるようにうたう
やっと追いつけたようで
またきえてしまうから
泣いてみる



ぬるんだ水のかるさ・浴びる日の健やかさ・しろい背中
花はまださかない

春、



わたしははるにうまれた


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