極光の下胎児が夢を見る/しめじ
炭鉱に潜り込んだハンチング帽がフライパンを平らげた夜
カタツムリが春を迎えて太陽とセックスを繰り返す
傘を持つ女は破魔矢だろう
そう見立てたソメイヨシノが牛のよだれに塗れている
悲しい夜だ
大蒜をすりつぶしたアスファルトを枕に
ノートブックが感電し続ける
鳥居に結びつけた大根と扇風機
赤いポストの中に放り込んだ鶏もも肉300グラム
包丁が空を飛び、夕日に舌を這わせる少女の夢
小指からしたたり落ちるカサゴの鱗
農夫になった兄が撲殺されました
そのとき真空管はため息をついた
ヘビーゲージを加熱して図書館は水浸し
認証されない千の欲望と共に
裁かれるのは雨ざらしの眼
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