エピタフ/クリ
 
ストーン・サークルは僕が築いた
まだ北海道がサハリンとつながっていて
その向こうでシベリアと地続きの頃から ずっと


木は朽ちる 鉄は錆びる 文明は廃れる
人は死ぬ
あらゆるものが僕を追い越し いつの間にか
また ひとりぼっち
 ( ♪Alone again, naturally...
  ひょっとしたら彼も 僕と同じ種族なのかな?)


すべての遺構は僕が作ったもの
約束は破られる 愛は終わる 種は絶える
星座さえも形を変える
すべてが僕を置き去りにするなかで
石だけが変わらない
だから僕は石で徴を残す
僕に先だった人たちと 僕のための
ストーン・サークル
生きた 証し


そしてここ東京にも 環状に石を敷き詰める
大きな いびつな ストーン・サークル


渋滞する車の列のまっただ中で 誰ひとり
それが墓碑銘であることに気づかない



                Kuri, Kipple : 2004.06.30
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