釣り人/
小川 葉
瞳の岸辺に
釣り人がやってくる
かなしみの主を釣るために
まつ毛が雨に濡れている
湖水が溢れて川になる
大地の鼓動が震えている
釣り人は帰っていく
明日もまた来るだろう
かなしみの日が続く限り
釣り人は知っている
かなしみの主とは
わたし自身であることを
釣り人のことを
わたしは知らない
戻る
編
削
Point
(4)