延長戦と境界線/ブライアン
会社帰りに友人の店へ飲みに行った。8時を過ぎたあたり。20席くらいの店内に、お客さんは1組だけだった。身長の高いこの店のオーナーは、扉を開けた瞬間、ちょっと久しぶりだね、と言う。ちょっとだけ、久しぶりだった。
今時、弓矢で狩をするような話し方をする同僚は、こんにちは、と答える。適当に座って、とオーナーが言った。一番奥の席に二人で座り、早速ビールを注文する。
ここと、そこの空間に境界線はなかった。そこはここの延長にある。だが、ここは、東海村で、そこはひたちなか市だった。大きな橋だったか小さな橋だったかは覚えていない。午後7時、いわき市から走りはじめた体は、興奮と疲れのあまり結果以外のも
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)