闇もまた遠く/
佐々宝砂
翼もないのに太陽に近づいたので
どこにも行けなくなってしまう
尾根伝いにやってきた
自分の足跡をふりかえる と
笑い出しそうな風が耳元でさわぐ
みどりの尾根に戻ろうか
それともあくまでも頂上をめざして
岩を登ろうか?
岩肌は日に温もり
とりつく島もしっかりあるのだが
どこにも踏み出せないまま
太陽を仰いでいる
太陽は遠く
闇もまた遠く
(2007 宝剣岳にて)
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