春のバナナ/小川 葉
 
バナナが自ら皮を脱いで
バナナはバナナであろうとする

それを口がおいしそうに食べて
口は口であろうとする

その様子をじっと見ながら
目は目であろうとした

庭に出ると
鼻が春の匂いを探してる

蝶の真似をして
耳がひらひら飛んでいる

懐かしい足音が聞こえる
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