創書日和「月」/虹村 凌
明けない夜は無いらしいから
幾つかのあの夜達を積み重ねたら
いつか朝を迎える事が出来るだろうか
冷たく張り詰めていた空気が少しだけ緩む
肩の筋肉は若干だが弛緩する
あぁそうだ
閉塞とか孤独とか
もうそんな話はしなくていいのか
そうだ
幾つものくだらない話をしようか
赤い洗面器を頭に乗せた男とか
アルパチーノの台詞の発音の事とか
昔は昇竜拳が出せなかった話とか
小さい頃はコーラの泡が飲みたくても飲めなかった話とか
でも実際に飲んでみたら別になんて事なかった話とか
親父が何であんなにビールの泡をおいしそうに飲んでたのか
そんな下らない話をしようよ
今まで明けな
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