春風/
小川 葉
風が吹いてるのではなく
人が吹いているのだ
居眠りしながら
遠いところまで吹いていくのだ
街に春が訪れたなら
それは誰かの夢のはじまりなのだ
気配を感じながら
やがて知らない街へ夢を届けにいくだろう
今は知らなくても
とてもよく知ってくれる人に
春は失った記憶に似ている
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