他力本願/榊 慧
 



無力感、無能感にくるしまされるのは、宿命でしょう。

ああ、そういえば宿命の意味を俺は知りませんが。

なにゆえ、俺はその単語を使ったのでしょうか。甚だ、ぎもんです。






(どれだけ頭をふっても消えないものに、死にたくなる。)
(現在進行形の、記憶は、やはり、邪魔をする。)
(譬えるなら、微温湯のように。這いずりまわって侵食していく。)
(そしてそれはエンドレス。)
(もっとひどい事も、あるのだろうよ。)





明日はとぶわけでもなく、かんがえる暇もあたえずにちかづいてくる。

知っているのは、今はただ、気色悪いあの感触と。

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