『マトリョーシカ』/東雲 李葉
 

開けても開けても同じ中身の人形みたいに、
代わり映えの無い自分でいたくないのに。


結局僕なんてそんなもんだ。
「分かってるって」だけど何も言わないだけ。
鏡の中の自分は皮をかぶったお人形。
剥がしてみたって同じような自分が顔を出す。
開けても開けてもそこには僕しか入ってないよ。
いつか誰か見えてくるかな。それともずっと僕のままかな。

結局僕は僕なんだ。
「本当は知っていたよ」
だけど信じたくなかった。
つまらない自分でいたくない。百の顔を持ってみたい。
誰も本当の僕を知らないで。
けれど本当って何だっけ…?

開けても開けても違うサイズの同じ自分。
どんなに仮面をかぶっても僕は僕にしかなれない。
開けても開けても小さくなってく同じ自分。
結局のところ僕はただ空っぽな人形だったよ!
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