繋いだ手のないふたり。/哀詩
 


ふたりの写真を切り取って恋と呼んだ。
かけあわせた煙草がおちた。
それはまるで落ちていくふたり、
林檎の蜜が紅に染まった
端からこぼれおちる液こそが血
きみの素肌に触れた夜。


左の爪を黒に染めれば
心臓に近い指すら封印した。
あそこを壊して、
もう大切なものは飛んでいった。


つまらない距離をおいていたのは
焼き増したときにより簡単に切り取れるように
底意地の悪い悦でした。
きみの届かない手が
いつも空を切る午前中


 
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