ぼんやりと、僕は想う/はるこ
 

日が経つにつれて、図書室に差し込む日の光も随分とやわらかくなってきた。
なのにあの娘の顔はだんだんかげってきている気がする。
いつも空にいちばん近い席に座る子。
本を読むときだけは、緑色のメガネをそっと置く子。
「佐藤」という名札から見た名前くらいしか知らない。
でもその色で2年生だということは分かる。

「何を、悩んでるんだろうなぁ…。」

「? 渡部せんせー、何か言いましたか?」
前で貸し出しカードの整理をしていた行本が僕の方へと顔を向ける。
「いや。 何でもない。」
何でもないと言ったのに、行本はわざわざ僕の視線の先を辿る。
しまったと外したときにはもう遅かった
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