紅茶愛歌/木屋 亞万
 
紅茶は砂糖を入れないと
味のバランスが取れていない
ように思える生粋の日本人

紅茶色が一番好きで
カーディガンも
スカートもいつだって
濃淡さまざま紅茶色

ペットボトルの紅茶は
紅茶ではないなんて
通ぶった人達は言うけれど
デスクワークのお供には
ストレートな午後の紅茶

ミルクティーの色は
絵本の曇り空みたいで
欧風文化の鉱石は
ミルクティーが原料だと
信じて止まぬ休日に
遅目の朝食の最後
リーフから入れた
ロイヤルミルクティー
青い花が伝える真実は
温もりとともに去りゆく

紅茶へのこだわりは
紙パックから
ペットボトルに移り
ティーパックから
リーフに移る
美味しく入れる方法も学び
色と香に酔いながら
片思う人の空白を埋める

恋は空白と穴だらけ
仕事には臭いものもある
乗り越えていくための武器は
愛すべき魔法の飲み物

紅茶色のロングスカートが
昼間の町を歩くとき
クリーム色の鞄には
最高に甘い相棒が
和やかに待機している

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