セスナ/mizu K
 
から砂丘の砂が
さらさら飛んでいる
風がつけていく風紋を
帰り道
子どもとみながら歩く
来るときとは模様が違う
そう
こうして旅人は砂漠でさまようのだ
二つ、三つと蜃気楼が浮かんで
みしらぬ国の夢をみながら
旅人は死のねむりにつく

太陽にかくれて黒い点になっていたセスナが
まだ遠くの海の上を飛んでいる
あの操縦士は目がみえなくなったろうか
それでもいつもの勘をたよりに
操縦桿を必死で握っているのだろうか

セスナが徐々に制御を失っていく

すな、空のように口ずさんで
空のむこうにセスナがみえた
夕くれなずむ砂浜の色が
遷移していくさまにみとれて
セスナが制御を失っていくさまを
子どもと手をつないでみていた



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