セスナ/mizu K
 


すな、空のように口ずさんで
空のむこうにセスナがみえた
夕くれなずむ砂浜の色が
遷移していくさまにみとれて
セスナが制御を失っていくさまを
子どもと手をつないでみていた

神がくれにかくれる人はあんな風に空に
消えていくんだよ僕もいつかセスナに
乗ってみたいなあと子どもが言う

空のむこうにセスナがみえる
既に空の、空のむこう側に行ってしまって
こちら側にはいない

風が吹いている
風が吹いているから砂浜の砂が
さらさら飛んでいる
さらさら飛んでいるのに
口の中はざらざらしてきた
たぶん家に帰ったら耳のなかもざらざらだね
そう、子どもが言う


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