サークル/鈴木
。よきかなπの不定性、さだめなきこそいみじけれ。視線をテーブルに移すと我々の前には二合徳利が確か八本と、皿が歴々積み上げられた上に串々々々々の墓、いったい勘定おいくらなるかと訝るものの、思考は宙に瞬く快感に破壊され「どうでもいいよ」「どうでもいいよ」顔の赤みを藍と染め直すことあいなりませんでした。樫製の机を叩いた鈍い音が響き、握られた拳、前傾姿勢で垂れた茶髪が包むはるか先輩の頭部が揺らめいて、「観自在菩薩、ホイ!」「先輩」「行深般若波羅蜜多時、ホイ!」。彼女は般若心経によって心のリズムを再起動しようとしているようでした。「色不異空、ホッ!」もちろん気が触れたのではありません。狂気とは自己自身に忠実
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