[生命線]/東雲 李葉
 
塞がりかけた傷を抉るように不幸は連なりやってくる。
痂の剥がれた傷は更に深く赤くなる。
いっそ殺してと叫んでも呼吸は乱れながらも正常で。
死神の気配は有りもしない。人生を離脱したいのに。
投げ出すには長く生きすぎた。大事なものが沢山ある。
いくつもない出会いの中で極々僅かな金の砂。
今はそれが重たくて温かくて疎ましいのにとても恋しい。
何にも出来ないくせに想像力だけ逞しいから、
いつか世界の何処へでも飛べると信じて生きている。


し、にたいのに、
し、ねない。


こんなことで。って、視聴者はきっと私を笑う。
最近の若者は、と、コメンテーターは呆れ果てる。
ある
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