みずの春彩/山中 烏流
 
 
 
木製のパレットに
弾かれていく、水泡
そこから零れ落ちる/滲む
たくさんの、はじまり
 
かたどった筆先を
やわらかく
浸した水面には、
ほのかな色を持った
円卓が
広がっていく
 
やがて
その賑わいが
ぽつぽつと伝わったような
色彩に溢れる、瞳で
私は少しだけ
円卓へと
指を、浸して
 
 
キャンバスに映るものは
きよらかな陽光
そして、
少しだけ不安定な

 
 (私、ほら
   大人になってしまうよ。
 
呟いた声で
飛び越えていけるものは、
きっと
あの窓と
埃に塗れたイーゼル
そして、
芽吹いたばか
[次のページ]
戻る   Point(4)