みずの春彩/山中 烏流
木製のパレットに
弾かれていく、水泡
そこから零れ落ちる/滲む
たくさんの、はじまり
かたどった筆先を
やわらかく
浸した水面には、
ほのかな色を持った
円卓が
広がっていく
やがて
その賑わいが
ぽつぽつと伝わったような
色彩に溢れる、瞳で
私は少しだけ
円卓へと
指を、浸して
キャンバスに映るものは
きよらかな陽光
そして、
少しだけ不安定な
蕾
(私、ほら
大人になってしまうよ。
呟いた声で
飛び越えていけるものは、
きっと
あの窓と
埃に塗れたイーゼル
そして、
芽吹いたばか
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