兎捕獲方法/マツモト
俺は兎を探している。
寝坊したので言い訳を考えながら道を歩いた
今頃はたぶん3校時目の途中だろう
肩かけ鞄の中で筆箱がガタゴト、ガタゴトと
何かが足に触れ
振り向くと少女が独り
兎だ そう俺の体内が叫んでいた
「貴方ほど赤が似合う人はいないわ。」
彼女の右手にはギチギチと折れてしまいそうな程強く
赤いクレヨンが握られていて
俺はひざまずいた それはもう決まっていた事のように
ゆっくりと ゆっくりと
アスファルトがゴリッと音をたてた
気にしている場合じゃない
だってそれは決められていた事だから
右頬に力強く「Y」と書かれた
消えるの
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